第三世界の成長のシナリオ 6
アメリカ合衆国などのイギリス型植民地では、彼らが生産的であり、企業家的であれば、収入は増加していく可能性がありました。
すなわち、一生懸命働けば自分自身が恵まれるという経済機構の中に生まれてきたら、人間はかならず勤勉精神を身につけるのです。
同じアメリカ合衆国でも、黒人は長い間、奴隷的地位に甘んぜざるを得ませんでした。
いくら真面目に働いても、むくわれることがなかったのです。
かつてアメリカの黒人が、怠け者でウソつきだとされたのもそうした背景があってのことなのです。
要は経済構造の問題でしょう。
経済構造が変動することによってのみ、そこに存在する人間のメンタリティも変化していくのです。
明治以来、われわれ日本人は、朝鮮や台湾の人々に対して「朝鮮人はナマケ者でウソつきのガンコ者」とか、「台湾人はノンキすぎて、働く意欲がない」などと、さんざん言いたい放題のことを言ってきました。
しかし、いま、韓国人や台湾人が「ナマケ者でウソつき」だから、韓国や台湾の経済が発展しないなどと本気で思っている人はいないでしょう。
しかし、50年前の日本では、それが常識であったことを思い返せば、第三世界の人々が無能であるがゆえに、第三世界には経済発展はないとする議論が、いかに馬鹿馬鹿しいかは明々白々と思われます。