第三世界の成長のシナリオ 4
アメリカ合衆国とメキシコを比べると、アメリカ合衆国ほどではないにしても、メキシコには豊富な石油や鉄鉱石があり、農業も自然に恵まれています。
ところが、メキシコはアメリカ合衆国よりはるかに貧しいです。
このことを表面的にだけ見れば、アメリカ人は働き者で、メキシコ人は怠け者だからということになります。
しかし、いま、ここに述べたような歴史的経済構造の問題を考慮にいれると答えはだいぶ異なってくるはずです。
メキシコのような一切を収奪される形の植民地経営が、何世紀にもわたって続いたところでは、個々人が自分自身を企業家として、能率的に会社を運営したり、合理的な利潤を出そうなどと考える習慣をもちえないのです。
ただ黙々として奴隷労働に従事することだけが許されてきたため、そこに創意工夫が存在する余地がないのです。
かりに、そのような人間が存在したとしても、こうした体制の下では、創意工夫の企業家精神をもって働くような人間は、植民地経営にとって危険でしょう。
植民地体制の敵として抹殺せざるをえないのです。